アメリカ証券会社の評価基準
投資の尺度として格付けがもっとも重視されがちだ。しかし、格付けは過去の財務指標にとらわれすぎるとも言われていた。もっと重要なのは会社の経営陣が何を考え、将来どんな会社になっていくかだ。
アメリカの証券会社は1980年代、高利回り債の評価基準として以下の点を挙げていた。
- (1)経営陣
- (2)業種
- (3)業界内における会社の位置
- (4)収益力
- (5)資産
- (6)流動性
- (7)MAD比率
- (8)法的問題
- (9)債券のタイプ
4つのパターン
米投資銀行(証券会社)のソロモン・ブラザーズは、高利回り債を会社のタイプによって以下の4つのパターンに分けていた。
- (1)優良な資産と低い負債比率
- (2)優良な資産と高い負債比率
- (3)質の低い資産と低い負債比率
- (4)質の低い資産と高い負債比率
このうち最も投資に適しているのは(1)だ。しかし、格付けが上昇する可能性もあり(上昇すると利回りは低くなってしまう)。だから、現実にはなかなか玉をみつけるのが難しい。
そこで次の候補が(2)だ。これはレバレッジバイアウト(LBO=借入金をテコにした自社買収)などで借入金が急増しているが、実際のビジネスは好調な会社があてはまる。
全米1位のデパートチェーンだったRHメーシーや食品のBCI(ベアトリス)などがその例だった。
米国の証券会社が日本で投資家向けセミナー
米国の証券会社は、日本の機関投資家へジャンクボンドを積極的に売り込んできた。米国では1980年代に巨大な市場規模に成長した。日本の投資家は慎重な姿勢を見せていた。米国証券のセミナーの開催などで関心が高まった。投資額も増えた。
ソロモンやドレクセル
ソロモン・ブラザーズ、ドレクセル・バーナム・ランベールなどアメリカの証券会社は1980年代半ば、相次いで高利回り債のセミナーを開催した。
育ての親・ミルケン
ドレクセルは高利回り債券部が2日間にわたるセミナーをとりしきった。高利回り債券部は、ジャンクボンド市場の“育ての親”であるエグゼクティブ・シニア・バイスプレジデントのマイケル・ミルケン氏が率いていた。
ゲスト・スピーカーとして12人の米企業のトップが出席した。イースタン航空などを相次いで買収し全米一の航空会社となったテキサス・エアのロレンツォ会長などが登場した。高利回り債を利用して急成長した企業のトップがズラリと顔を並べた。ドレクセルの力の入れ方を見せつけた。